「近代産業の先駆者として・・・」と。若い私が大きな夢を描いて歩みだしたのが、ポリエチレンがまだ一般的に知られていない昭和26年のことでした。
周囲の人たちからは、未知なるものへの不安から「そんな商売は危険ではないのか」と幾度も忠告も受けました。ただ当時の私は、ポリエチレンに関する資料を集め、それをむさぼり読むうちに、ポリエチレン製品は「社会に必要とされ普及する」と確信を持つようになりました。
そして、昭和27年、僅かな元手でポリエチレン押出機を1台購入したのが東信化学工業の始まりです。
機械を据え付けた感激の次には、製品作りの大きな壁があり、苦難の末に使用に耐えられる「ポリエチレン袋」が完成したときは感無量、表現できない喜びを全身で感じました。この時期があらゆる面で厳しく、まさに寝食を忘れ、昼夜を問わず懸命に働いた記憶だけが残っています。
その後も販売先や製品改良などの数多の苦難がありましたが、ポリエチレン製品の需要拡大に比例するように、東信化学工業の生産量も年々増加し、供給体制を高めるため生産工場の拡充を図り、高度経済成長期を、社員とお客様に支えられて生き抜くことができました。
そんな時代を乗り越えた東信化学工業ですが、時代の流れに合わせて、新製品の研究開発や、生産工場の省力化など、新たな課題を解決するため社員が日々取り組んでいます。また数ある課題の中で最重要なのが「人材」で、会社を発展させるための「源」になる「人材」を大勢育てることにこれからも注力しなければならないと考えています。
私がゼロから始めた東信化学工業ですが、ここまで発展できたのは諸先輩方の蔭ながらのお力添えと従業員一同の協力の賜物であると心底より感謝しております。これからもそのような方々とめぐり逢えることを日々祈っております。
創業者 久野 信雄